社会
働きがいのある職場環境の実現に向けて
働き方改革
ニチレキグループでは、長時間労働の削減と有給休暇の取得の推奨によるワーク・ライフ・バランスの向上に努め、従業員が自らの事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できる体制づくりに取り組んでいます。長時間労働の削減に向けた施策としては、オンライン勤怠システムを導入し、管理者が従業員の出退勤、労働時間、残業、夜間・休日勤務の状況を正確に把握することで労務管理を適切に行っています。併せて、クラウド型のグループウェアやWeb会議等を活用し、業務の効率化を進め生産性の向上を図っています。2024年4月から働き方改革関連法が建設業に適用開始されるにあたっては、現場で撮影した工事写真等の各種データを即座にクラウドサーバにアップロードし、事務所にいる別の従業員が工事書類の作成にあたる仕組みの導入などを通じ、現場からの直帰を奨励し、残業時間の削減に努めています。また、有給休暇の取得に関しては、年度当初にあらかじめ取得計画日を設定することで、法定日数以上の計画的な取得を促進しています。特に年末年始・夏季においては長期休暇の取得を奨励し、従業員のワーク・ライフ・バランスの向上に努めています。さらに、働き方の選択肢を広げる一環として、テレワークの普及・推進を図るため、モバイルPCを導入し、場所にとらわれない働き方が可能となりました。今後も従業員一人ひとりが能力を発揮し、成長し続けられる職場環境づくりを推進していきます。
2021年度実績 | 2022年度実績項目 | |||
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項目 | 連結 | 単体 | 連結 | 単体 |
1か月当たりの平均残業時間 | 30.6時間 | 17.1時間 | 21.6時間 | 13.6時間 |
年間平均残業時間 | 367.2時間 | 205.2時間 | 259.5時間 | 162.8時間 |
有給休暇取得率 | 61.7% | 63.4% | 68.3% | 69.3% |
有給休暇平均取得日数 | 10.8日 | 10.9日 | 11.9日 | 12.1日 |
中長期目標
項目 | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2025年度 | 2043年度 | SDGsマッピング |
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年間残業時間*1 | 640時間以下 77.8% |
640時間以下 87.2% |
640時間以下 89.9% |
640時間以下 100% |
360時間以下 100% |
|
有給休暇 年間取得日数*2 |
付与日数の5割以上 52.4% |
付与日数の5割以上 56.4% |
付与日数の5割以上 69.1% |
付与日数の5割以上 100% |
付与日数の9割以上 100% |
- *1 グループ全従業員が対象。
- *2 年間付与日数10日以上の従業員が対象。
ダイバーシティ&インクルージョン
ニチレキグループでは、国籍、世代、性別の枠を超えた多様な人材が、最大限に力を発揮できる職場づくりに取り組んでいます。個性の違いが生み出す様々な視点や価値観を効果的に組み合わせることで、お客様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様の要求に迅速かつ適切に対応できる環境を整え、多様性を強みとする企業風土の醸成に努めています。また、従業員が安心して子育てができるよう、育児休業の取得を推奨しています。対象従業員一人ひとりに育児休業制度の仕組みやフォロー体制を説明することで、取得に対する不安を取り除いています。さらに、休業期間終了後も安心して職場に復帰し働くことができるように、テレワークの活用を推奨するほか、「育児短時間勤務」、「育児休憩」などの制度を積極的に利用できる環境づくりを行っています。最近では、2022年10月の改正育児・介護休業法の施行に合わせ従業員への周知を実施し、育児休業に対する上司・同僚など周囲も含めた理解の促進に努めました。
2021年度実績 | 2022年度実績 | |
---|---|---|
項目 | 連結 | |
女性技術者数 (技術研究所) |
8名 / 35名 (22.9%) |
7名 / 38名 (18.4%) |
女性従業員数 | 83名 / 958名 (8.7%) |
87名 / 972名 (9.0%) |
育児休業取得者数 | 9名 (男性2名、女性7名) |
7名 (男性2名、女性5名) |
育児休業取得後の 職場復帰者数 |
8名 (復帰率100%、1名は休業継続中) |
5名 (復帰率100%、2名は休業継続中) |
なお、女性活躍推進法等に基づく多様性に関する3指標の2022年度データは、以下の通りです。
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
2022年度実績 | ||||
---|---|---|---|---|
管理職に占める 女性労働者の割合*1 |
男性労働者の 育児休業取得率*2 |
労働者の男女の賃金の差異 | ||
全労働者 | 正規雇用労働者 | パート・有期労働者 | ||
1.1% | 50.0% | 46.6% | 53.4% | 53.2% |
- 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
- 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
人材育成
教育研修制度
ニチレキグループでは、従業員が個々の能力を発揮できるように、入社以降のキャリアの各段階における研修に力を入れています。「新入社員研修」は、社会人としてのビジネス知識にとどまらず、文系理系の分け隔てなく、技術研究所、生産工場、工事現場で実際の体験を通じて学ぶことのできる機会を数多くカリキュラムへ取り入れ、2か月間にわたり実施しています。さらに、配属先では先輩従業員のもとでのOJT研修を通じ、実務を通じた指導を行っています。また、従来の知識の延長にとどまらず、新たな領域の知識も身に付けることができるよう、階層別および職種別の研修を行っているほか、公的資格の取得促進の支援として、社内外の各種講習会への積極的な参加も推奨しています。
グループ教育研修制度
上級管理者研修
3年研修
新入社員研修
新人事制度の運用について
グループの持続的成長を支える経営基盤のさらなる強化の一環として、2022年4月より新たな人事制度の運用を開始しました。65歳定年制により、シニア人材が活躍できる環境を構築するとともに、役割を重視した処遇とすることで、能力のある若手の登用を可能とする制度となっています。年齢に分け隔てなく全従業員の活躍を促し、ニチレキグループ全体の活力をより高めることを目指します。また、個人が自らの能力を最大限発揮できるための適材適所の人員配置を企図して、新たに専門職(プロフェッショナル職)を設置し、技術をはじめそれぞれの能力に特化した従業員を評価する体制を整備しました。特に、研究開発・技術力を支える従業員のキャリア形成の一環として、社会人博士号の取得における支援を行っています。
こころと体の健康経営に向けた取り組み
従業員のメンタルヘルスの不調を未然に防ぎ、より働きやすく健康な職場を整備することを目的に、全従業員を対象としたストレスチェックを年1回実施しています。ストレスチェックの結果の集計・分析から職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、従業員のストレスを軽減するよう努めています。また、従業員の健康の増進のため、全従業員を対象とする健康診断や、インフルエンザ予防接種の費用補助を実施しています。
労働安全衛生
安全衛生に関する方針
ニチレキグループでは「安全衛生管理方針」のもと、事故・災害の撲滅、第三者災害の防止を目的に、労働安全衛生マネジメントシステムを「安全衛生管理ルールブック」という形でマニュアルにまとめて体系化しています。また、安全に関する取り組みを一層推進するため、グループ本社の安全品質環境部を中心に、ニチレキ各支店にも独立した部署として安全衛生課を設けています。
安全衛生管理方針
安全衛生管理体制
2022年度の取り組み
ニチレキグループでは事故ゼロを目標に、従業員、協力会社と一丸となって事故の撲滅に取り組んでいます。具体的な取り組みは、以下に示す通りです。
【安全衛生管理ルールブックの運用・改訂】
グループの従業員が守るべき安全上のルールを体系的にまとめた安全衛生管理ルールブックに則り、作業手順の遵守や指差呼称といった基本事項の確実な実施に努めました。また、関連法令および顕在化してきたグループ内における安全衛生上の課題に対応する形で、2023年3月にルールブックを改訂しました。2023年4月からの改訂版運用に合わせ全国の事業所に向けた説明会を実施し、法令および社内ルールの周知徹底を図り、従業員の意識付けを強化しました。
【車両点検表等のデジタル化】
アスファルト乳剤散布車の点検表等のデジタル化を足掛かりに各種DX施策を推進し、日常点検と車両整備を確実に実施し、漏れのない網羅的な安全管理を目指しました。
【安全パトロールの全国展開】
安全品質環境部による全国での安全パトロールを通して、危険箇所の洗い出しを行いました。その結果を踏まえ、現場および全事業所における安全かつ快適な職場環境の実現に向けて、各種改善措置を推進しました。
【AI搭載型ドライブレコーダーの運用】
全てのアスファルト乳剤散布車、ローリー車、路面計測車を対象に、車両の前方および車内の運転状況を分析し、危険を予測した際にはアラートでドライバーに警告するAI搭載型ドライブレコーダーの運用を開始しました。
Webによるグループ安全衛生会議
現場における安全パトロール
ウエアラブルカメラによるWeb活用型安全パトロール
2023年度の取り組みの結果
以上の取り組みにより、当期の総事故件数は下表の通り、前年度から8件減少し16件となりました。内訳を見ますと、2021年度から実施している車両点検方法の統一化の効果もあり、公衆損害事故は7件減少し3件となりました。
また、交通事故件数は前年度から2件減少し3件となりました。特に、AI搭載型ドライブレコーダーを導入した効果は顕著で、当該車両については当期に事故の発生はありませんでした。
事故件数(件)
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
公衆損害事故 | 5 | 15 | 13 | 15 | 10 | 3 |
機材関連事故 | 8 | 5 | 4 | 5 | 3 | 4 |
交通事故*1 | 5 | 0 | 2 | 5 | 5 | 3 |
労働災害*2 | 2 | 2 | 3 | 5 | 6 | 6 |
事故件数 計 | 20 | 22 | 22 | 30 | 24 | 16 |
- 業務中の人身傷害に係る事故
- 4日以上の休業災害
今後の取り組み
ニチレキグループでは、今後以下の活動を継続的に実施することにより、事故ゼロを目指します。
【交通事故の撲滅】
安全衛生管理ルールブックに則り、手順の遵守や指差呼称といった基本事項を確実に実施するよう、従業員への意識付けをさらに強化します。また、ドライブレコーダーのデータを活用した安全運転の指導を徹底します。
【公衆損害の撲滅】
危険予知活動や作業手順の遵守、誘導員・見張り員の適切な配置といった基本的事項の確実な実施により、運転ルート沿線や工事箇所周辺における第三者被害の撲滅を目指します。
【安全啓蒙活動の強化】
「全国安全週間」、「全国労働衛生週間」、「年末年始建設業労働災害防止強調期間」、「建設業年度末労働災害防止強調月間」等の各種運動に参画するとともに、安全品質環境部による全国的な安全衛生パトロールを引き続き実施します。
【安全衛生管理水準の向上】
ウエアラブルカメラの導入によるWeb活用型安全パトロール、現場での安全教育などを行い、安全意識の向上と類似事故の再発抑制に努めます。
サプライチェーン・マネジメント
品質確保に向けた方針
ニチレキグループでは以下の品質方針のもと、ISO9001に準拠した取り組みとして、お客様のニーズに対応した製品および工法の創造・提供を絶えず追求しています。
品質方針
購買先との協調による調達活動
ニチレキグループでは、持続可能な企業グループへ成長していくため、購買先との協力のもと、サプライチェーン全体を意識しながらESGに配慮した調達活動を実施しています。製品の品質に影響する購買品については、少なくとも年1回、購買先評価を確実に実施し、購買先の認定・登録を行っています。その結果、改善余地が抽出された購買先とは、問題点を共有しています。また、購買先との信頼関係を深めるための双方向的なコミュニケーション活動も継続的に展開しています。
中長期目標
項目 | 2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2025年度 | 2043年度 | SDGs マッピング |
---|---|---|---|---|---|---|
購買先評価 実施率 |
100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
研究開発
新製品・工法開発
地球規模での気候変動問題の解決が課題となる中、企業にも環境に配慮した持続可能な事業活動が要求されています。「2050年までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロ」の長期目標の達成に向け、ニチレキグループではCO2削減、長寿命、リサイクル、安全などの性能・機能を有する環境に優しい革新的な製品・工法の開発や改良を推進しています。その成果として2022年度は、手で曲げられるほどの柔軟性と、交通荷重に耐えうる強靭性を兼備した特殊改質アスファルト「スーパーシナヤカファルト」と、極めて高い塑性変形抵抗性を有し、港湾や空港など、重荷重が想定される過酷な環境下でも適用可能な特殊改質アスファルト「スーパーコンテナファルト」を新たに開発・上市しました。ともにアスファルト混合物の製造時の温度を従来品よりも低減でき、かつ、舗装の長寿命化により補修工事の頻度が低下することから、工事作業および交通渋滞によるCO2発生量の削減にも貢献します。なお、両製品は国土交通省による「超重交通に対応する長寿命舗装技術に関する選定技術」の公募に提案し採用され、2022年10月、「R4新4号国道古河地区舗装工事」において試験施工が行われ、適切な施工管理のもと良好な出来形を確保することに成功しました。
施工状況
施工後
また、2021年度に東京大学および株式会社スマートシティ研究所とともに共同研究開発した、スマートフォンによる道路点検システム「GLOCAL-EYEZ」(グローカルアイズ)の改良も2022年度に行い、わだち掘れ、路面表示のかすれ、ガードレールや標識等の損傷を評価できる機能を新たに実装しました。
わだち掘れの解析イメージ
路面標示のかすれ
ガードレールの損傷
中長期目標
項目 | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2025年度 | 2043年度 | SDGsマッピング |
---|---|---|---|---|---|---|
環境配慮型 製品・工法の売上比率*1 |
12.6% | 21.2% | 23.9% | 30%以上 | 80%以上 | |
新製品・工法開発 (改良含む) 上市件数*2 |
10件 (2016年度以降累計) |
1件 | 4件 | 10件以上 | 40件以上 |
- 既存のものよりも環境に配慮した製品・工法。売上比率は連結売上高に対する比率。
- 2021年度以降に上市された新製品・工法(改良含む)の累計件数。
外部パートナーとの共同研究
2023年4月、ニチレキは東北大学大学院工学研究科インフラ・マネジメント研究センター(IMC)と共同して、同大学院に「インフラマネジメント“足すテナビリティ®”*1共同研究部門」を開設しました。この共同研究部門では道路を対象として、IMCによるデータサイエンスを中心とする情報処理技術と、ニチレキによる舗装材料開発や道路診断等の舗装の創造技術を両輪とした、新しい道路インフラマネジメントシステムを構築します。さらに、構築したシステムを道路管理者のインフラ維持管理業務に導入するための実証を行い、より実効性の高いシステムとなるようブラッシュアップを図ります。道路管理実務への導入実証については、IMCが構築した「東北インフラ・マネジメント・プラットフォーム(TIMP)*2」を活用します。今後、ニチレキおよびIMCのホームページや学術論文等で、成果を随時公表してまいります。
- 長寿命やリサイクルなどのさらなる性能・機能を「プラス」した、ニチレキ独自の「サステナビリティ」。
- 産学官をネットワーク化し、研究開発された知識や技術を合わせて改良することで、社会実装につなげることを目的としたプラットフォーム。
産学官それぞれのリソースを循環させ、地域活性化につなげる。各組織が持つ知識・ニーズ・場・人材が集結したワンストップでの活動が可能なゲートウェイ。
中長期目標
項目 | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2025年度 | 2043年度 | SDGsマッピング |
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共同研究開発 上市件数*1 |
2件 (2016年度以降累計) |
1件 | 1件 | 2件以上 | 10件以上 |
- 2021年度以降に共同研究開発から上市された開発品の累計件数。